なぜ棚田でお米をつくるのか?
棚田とは、山間の斜面を活かし、階段状に作られた田んぼのこと。平地が少ない山間部でもお米を育てるために、先人たちが知恵と努力を重ねて築いてきた農地です。
山を切り開いて作られたため、豊かな自然や澄んだ水に恵まれており、美味しいお米が育つ環境が整っています。しかし、平野部の田んぼと比べると、棚田は一枚一枚が小さく、使える機械にも限りがあり、作業効率は決して良くありません。
現代では栽培技術が進化したため、大きな機械を用いることで、大規模に効率よくお米を栽培することができます。もちろん、平野部でも美味しいお米を作ることは十分可能です。
そんな中で、あえて手間のかかる棚田でお米を作り続ける理由とは何でしょうか?
東京から移住し、農業を始めたJunが、棚田の役割と魅力をお伝えします!

棚田の役割と魅力
1. 棚田は”天然のダム”!水をためて洪水を防ぐ
棚田は、雨が降ると田んぼごとに水をためる仕組みになっています。これが実はすごく重要で、
✔ 一時的な貯水庫になる → 大雨が降っても一気に水が流れ出さず、洪水のリスクを減らす
✔ じっくり地下にしみ込む → 地下水として蓄えられ、枯れることなく川や井戸の水源になる
都会では雨が降るとすぐに道路から下水に流れてしまいますが、棚田は自然の「調整池」として機能し、地域の水環境を調整、水害が起きないように守ってくれるのです!

2. 棚田の管理が、地域の水源を守る
山に降った雨や湧き水は、水路に集められ棚田を経由しながら平野部へ流れていき、田んぼにとって大切な水源になります。さらに、棚田は水を一時的にためることで、ゆっくりと土にしみ込ませ、地下水として蓄える役割も! そのおかげで、
✔ 地域全体に水が行き渡る
✔ 雨が少ない時期でも安定して水を確保できる
これによって用水路の水が枯れにくくなり、雨が少ない時期でも安定して水を確保できます。近年の気候変動により、雨の降り方が不安定ですが、棚田があるおかげで、水不足のリスクを減らすことが出来るのです。棚田をしっかりと管理することが、地域全体の水を守ることにつながります。

3. 土砂崩れを防いで、山を守る
「斜面に田んぼがあると崩れやすそう…?」と思うかもしれませんが、実は逆!
✔ 棚田の水が土を適度に湿らせ、ガチガチに乾いたりドロドロになったりするのを防ぐ
✔ 畦(あぜ)に生えた草の根っこが土をしっかりつかんでくれる
棚田には山の斜面を安定させて、土砂崩れを防ぐ効果があるのです。ただし、放置されてしまうと、獣によって地表が荒らされたり、雨水による過剰な浸食が進むことで、逆に崩れやすくなります。さらに、棚田の畔周りや斜面に除草剤を撒いてしまうと、草花の根が張れず、土壌がゆるみ、土砂崩れのリスクが急増します。
だからこそ、自然と共生して、しっかりと管理することが大事なのです!

4. 生き物たちの楽園!生物多様性を支える
山の自然に囲まれた棚田は、いろんな生き物の住処となっています。田んぼの水辺は、単なる農地ではなく、多様な命を育む大切な場所なのです。
✔ 水辺があるからトンボやカエルがいっぱい!
✔ ホタルが飛び交う幻想的な景色も見られる
✔ サギなどの鳥たちも餌を探しにやってくる
田んぼって「お米を作る場所」だけじゃなく、生き物たちのオアシスでもあるんです。昔ながらの農法を続けることで、豊かな生態系が維持され、多くの生き物が安心して暮らせる環境が保たれています。
さらに、綺麗な天然水と豊かな土壌が広がる棚田は、絶滅危惧種の「ゲンゴロウ」や「タガメ」も生息する貴重な場所。こうした水生昆虫は、水質が良くないと生きられないため、彼らの存在は棚田の環境の良さを示す証拠でもあります。

5. 日本の美しい風景と文化を守る
春は水を張った田んぼが鏡のように輝き、夏は青々とした稲が風になびく。秋には黄金色の稲穂が実り、冬は雪景色に包まれる——そんな四季折々の棚田の風景は、日本ならではの美しさです。
さらに、棚田の魅力は景色だけじゃありません。地域の人々のつながりも生み出してくれます。
さらに、棚田は地域の人たちのつながりも生み出します。
✔ 棚田の管理は、みんなで協力する共同作業
✔ 田植えや稲刈りの体験イベントが交流と学びの場に
✔ 棚田の魅力に惹かれた移住者が地域に新たな風を吹き込む
昔から、棚田は 一人で守るものではなく、地域全体で支え合いながら受け継ぐもの。
田植えや稲刈りは単なる農作業ではなく、人々が集い、協力し、伝統をつなぐ場でもありました。
こうした文化は今もなお息づいており、棚田を守ることが、日本の伝統的な暮らしや精神を未来へと伝えていくことにも繋がっているのです。

棚田は未来につなげたい宝物!
棚田は、ただの田んぼじゃなく、人と自然が作り上げた「生きたインフラ」。そこには、日本人が受け継いできた文化や暮らしの知恵が詰まっています。役割をまとめると、
✔ 天然のダムで、洪水を防ぐ
✔ 地域全体の水源を守る
✔ 土砂崩れを防ぎ、山を守る
✔ 生き物たちの楽園を作る
✔ 美しい風景と文化を未来へ伝える
棚田の魅力は、ただ美しいだけではなく、人々の営みや文化を支え、地域を豊かにする——それこそが、棚田の持つ本当の価値だと私は考えています。

最後に・・・子供たちに伝えたい棚田の魅力。
現代の暮らしでは、平野部や都市部に多くの人が集まり、自然と触れ合う機会が少なくなっています。特に子どもたちは、田んぼや森で遊んだり、生き物を観察したりといった 「自然の中で学ぶ体験」 をする機会が減ってきました。
そんな中、棚田は貴重な学びの場 となります。
田植えや稲刈りを通して お米ができる過程を学ぶ だけでなく、そこに生息する様々な生き物とふれあうことで、自然の大切さを実感できます。こうした経験は、 地域の歴史や食のありがたみ を知るきっかけにもなり、まさに 「生きた教科書」 のような存在です。
それ故に、棚田を守ってその魅力や文化を伝えることが、子どもたちの地域学習や食育にとって、とても大切な機会になると、私は考えています。
「美味しい棚田米を食べてみる」「棚田の風景を見に行ってみる」———そんな小さな行動の積み重ねが、日本の大切な景観と文化を守る力になります。ぜひ一緒に、美しい棚田を未来へつないでいきましょう。

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