米農家になりたいと思ったら
米農家になりたい
「米農家になりたい」と考えている若い世代の方は、先の進路をすごく悩むと思います。
きっと、選択肢としては農業大学校、就職、大学(大学農学部・農学・農業大学)、専門(農業・バイオ系)などの農業が学ぶことができ、実践できる進路を視野に入れて考えていると思うのですが、ちょっと待って!ただ、農家になりたいから農業を学びに行く、意外にも選択肢はあっていいのかもしれませんよ。

他業種を経験してから農業に転職してみて
実は農家・農業を始めるにあたって必要なスキルは農業の知識だけじゃないんです。農家になるために経験しておいたらよかったなと感じることや、経験していてよかったと感じることを、お伝えします。
農業始めるための事務的な書類作成が多い
これは新規で農業者になった経験のある人は、首を縦にブンブン振ってくれると思うのですが(笑)新しく農業を始めるために必要な書類を作成するのが大変です。なんと1年間程かけています。(それでも書類が間に合わなくて、農業者になるのが1年遅れる人も出るくらい…)驚きますよね!
書類を作成するためには、色んな方との間違いがないか、もっといい方法はないか?など擦り合わせや打ち合わせがあります。
色んな方の協力があって農業ができるので、なるべく書類作成に不備がないように細かく数字や誤字脱字をチェックし、時間内にメールや電話をしていく必要があります。その時にPCの扱いや書類作成が苦手だとどうしても時間がかかってしまうでしょうし、書類作成にどんどん追われることになります。
私は商業高校出身で当時はPCをよく使っていたのですが、美容師になってからは人と面と向かって接することが多かったので、PC作業が苦手になってしまいました。もっと機会を作って慣れていたらよかったな…と感じています。夫のJunは色んな職業を経験していたからこそ、事務的なこと(書類の作成やメールの返信など他にも多数)はそこまで苦手ではないようで、本当にいつも助けてもらっています。ありがとう!

自然と向き合う仕事でも、人との交流も多い農家の仕事
正直、農家は自然と向き合っているイメージで、あまり人と関わらずに黙々とする仕事なのかと思っていました。しかし、意外と農家同士の交流が多く、行政や農協や農機を扱うメーカーなどあげたらキリの無いほどの大勢の方と関わりがあるのです。ちなみに、私はもともと美容師という人と接する仕事に就いていたので、大きな抵抗は感じませんでした。夫のJunは、色んな仕事を経ているので、色んな視点での考え方を持ってて、いつも偏りない考えを私に話してくれるので、「そんな考え方もあったのか!」と勉強になっています。これは彼の素晴らしいところの1つで、色んな経験を積んできたから身についた思考や行動力なのだなと尊敬しています。
もし人とのコミュニケーションが苦手だな〜と感じるのであれば、大学に進学し、あえて色んな人と接する機会を多く持ち、外に出て色んな人と出会い・関わり経験を重ねると、いざ農業を始めたときにその経験が自分を後押ししてくれるはずです。

農家は自然相手、学ぶだけじゃだめ
農家になるための道
- 新規農業認定を受ける
- 親元就農をする
- 農業法人に雇用してもらう
- 農業をしている家に嫁ぐ・婿入りする
とてもシンプルです。国家資格が必要なわけでは無いので、色んな方法で農家になることができます。
農業の実践的なことを学ぶ方法
実践的なことを学ぶ場所はたくさんあります。農業大学校、就職、大学(大学農学部・農学・農業大学)、専門(農業・バイオ系)どれも農業を学べます。しかし、私は農業大学を出たからといって安心できるわけではないなと感じています。なぜなら、農業に答えはないからです。

美容師だった頃の経験話を少しします。
国家資格の美容師になるための美容学校は、美容師になるための知識を教えてくれる場所です。美容師として知っているべきことを学びます。物理や化学、法律や衛生、皮膚や体内の勉強もします。それに加えてカット技術やカラーリング・着物やネイルやエステなど、何かの教育に特化した学校もあります。そんな学校を卒業して美容室へ就職するのですが、そこで絶望を味わいます。あれだけ自信を持てるよう学んできたのに、目の前のお客様を美しくできないのです!なぜかわかりますか?
工夫を凝らし、適応する能力の大切さ
知識や技術を磨いても、目の前の環境に合わせた考え方や工夫ができないからです。
美容学校ではカットやパーマ、カラーの技術・知識を学ぶ内容に「ウェーブの癖を持った人の髪の切り方」「襟足が浮いている人の収まる切り方」「メラニン色素が濃い人のカラーの薬剤知識」「直毛のカットで毛先をパラパラにする方法」「ウェーブを頭の形に沿って納める髪の切り方」なんて教えてもらえないのです。
これらは、実際に目の前で先輩に手取り足取り教えてもらったり、実際にモデルを呼んで切らせてもらう(いわば自分の理論が通用するかの実験)ことを重ねて知識と技術を身につけていきます。
農業も同じで、同じ土地にあっても全く同じ環境の田んぼは無い、自然相手です。いくら学校で学んでも、学んだ先に自分の赴いた土地や環境や、その時の気候に合わせて考えて工夫して積み重ねていくことがなにより大切です。
時には先輩農家さんの知恵や技術を借りたりしながらやっていくものだな、と感じています。親方が「毎年気候変動があって大変だけど、去年と同じやり方が通用しないのが自然相手の農業の面白さだよ。俺はこの人生であと何回お米作れるんだろうなぁ〜」と語ってくれた時「私はこれから面白い世界に飛び込むのだな」と思いました。

最後に
進路で悩む学生さんへ
私たち夫婦は学校で農業を学んできませんでしたが、まわり回って33歳で農業をスタートする予定です。33歳からでも始められるから、若い世代の方は安心して色んな選択肢を持っていいと思います。
当時高校生の私は、まず手に職をつけることが人生の安心材料だったので、経験があれば全国・世界中どこでも働ける美容師業を選びました。その選択に後悔はなく、やりたかった美容師を全うしたので、農業という新しい道へ進むことができています。
最初から農家になりたい、という考えを持てることはとても素敵なことです。そんな自分を誇りに思ってください。ただ、農家は自然相手で何が起こるかわからない世界です。いざという時に、他に仕事につながる経験やスキルを得ておく、という保険をかけることも必要かもしれません。
寝ても覚めても農業のことを考えてプライベートも農業の学びに費やしたい!そう思えるほど農業に魅了されているのであれば、農業を学べる学校へ進学し、色んな理論・知識を学び実践を積み重ねた方が身が入った学びができそうですね!
たくさん経験した方が人生の彩りは豊かになる
最後までお読みいただきありがとうございました!
単純に自分が興味を持つ世界、好きな音楽・食べ物・趣味や、友人家族との関わりが、農業の道に進んだときに思いがけないアイデアに繋がったり、色んな場面で自分を助けてくれるはずです。
そんなことを頭の片隅に置いて、これからの進路を、広く大きい視野で選択してもらえたら嬉しいです。
