カントリーアウルズ2025年の歩み
カントリーアウルズの2025年度米作り総括:挑戦と学び、そして未来へ
2025年の米づくり――それは、私たちカントリーアウルズにとって大きな転換点となる一年でした。雪解けの春から秋の収穫まで、私たちは全力でお米づくりに向き合い、これまでにない挑戦と学びを積み重ねてきました。ここでは、今シーズンの歩みを振り返りながら、感じたこと、学んだこと、そして次の一歩への想いをまとめたいと思います。

初めての平野部での米づくり
これまで私たちは、上越市柿崎区・米山麓の水野集落を拠点に、中山間地域ならではの小規模で丁寧な米づくりを行ってきました。冷たく澄んだ山水に恵まれ、自然と調和しながら、一枚一枚の田んぼに心を込めて育てる――それが私たちの原点です。
しかし、地域農業の将来を考える中で、自分たちの活動の幅を広げる必要性を強く感じ、今年から初めて平野部での米づくりに挑戦しました。広大な田んぼを前に、どのように管理し、効率的に作業を進めるのか、まったく勝手のわからないところからのスタートでした。
作業のひとつひとつで先輩農家さんの話を聞き、試行錯誤を重ねながらの挑戦。山間の田んぼと平野の田んぼでは、一枚あたりの面積が10倍以上違うこともあり、求められる栽培方法も大きく異なります。中山間地では「自然と向き合う丁寧さ」が求められますが、平野部ではそれに加えて「効率化」も不可欠。機械の使い方や作業手順を見直し、時間配分を工夫することで、少しずつ形が整っていきました。試行錯誤の連続ではありましたが、無事に稲が成長していく様子を見たときの安堵と喜びでいっぱいでした。

夏の試練――水不足との闘い
今シーズンを語る上で欠かせないのが、夏の猛暑と渇水です。平野部は広い分だけ水の管理が難しく、日照りが続く中で稲が枯れてしまわないか、毎日が緊張の連続でした。水は地域みんなで共有する大切な資源。限られた水をどう分け合い、渇水を乗り切るか。農家同士が協力し合う日々が続きました。
結果として、稲は力強く育ち、収穫を迎えることができました。自然との駆け引きの中で、農業の難しさと同時に、その奥深さ、そして地域のつながりの大切さを改めて実感しました。

なぜ平野部に挑戦したのか
今回の挑戦の背景には、農業界全体が抱える深刻な課題――高齢化と担い手不足――があります。私たちの活動地域である上越市柿崎区でも、担い手不足が進み、このままでは耕作放棄地が急増するのが目に見えています。地域の方々から「農地を守ってほしい」「お米づくりを続けてほしい」という声をいただくことも多くなりました。
農地は、一部だけ守られても意味がありません。地域全体で守り、支え合うことで、はじめて持続可能な農業が実現します。私たちは「農地を守り、美味しいお米を食卓や飲食店に届ける」という使命を胸に、平野部での面積拡大に踏み切りました。結果として、今年の耕作面積は前年の約3倍に。これは私たちにとって大きな挑戦であり、地域の未来につなぐための大切な一歩だったと確信しています。

本拠地・水野でのこだわり
一方で、本拠地である水野では、これまで以上に「美味しいお米づくり」を追求しました。農薬や化学肥料の使用をなるべく控え、地力をいかした栽培を継続。小さな面積ながらも、農薬不使用・有機肥料のみで育てたお米づくりにも挑戦しました。
猛暑と渇水の中でも、山から流れる冷たい水は枯れることなく田んぼを潤してくれました。35度を超える日には、水をかけ流して地温を下げ、稲が快適に育つ環境を整えました。今年初めて栽培した新しい品種の中には、山の水と相性が良く、予想を超える食味のものもありました。自然の恵みと地域の環境に感謝しながら、無事に美味しいお米を収穫できたことは大きな喜びです。

課題と来シーズンへの備え
新しい挑戦の中で、多くの課題も見えてきました。作業効率のさらなる向上、猛暑や水不足への対策、そして地域全体で農地を守る仕組みづくり。これらを一つひとつ改善しながら、来年はさらに良い米づくりを目指します。
これから冬を迎え、田んぼは静かな時間に入ります。私たちも充電期間として、今年の経験を振り返り、学びを整理し、次の春に備えます。2025年の稲作は、私たちカントリーアウルズにとって大きな成長の年となりました。
これからも地域とともに歩みながら、「美味しいお米を届ける」という使命を胸に、挑戦を続けていきます。今年も応援してくださった皆さまに、心より感謝申し上げます。
カントリーアウルズの活動や山暮らしの様子は、これからも発信していきますので、どうぞお楽しみに。

